立川の美容・健康・ダイエット情報ガイド数字と広告表現を、宣伝抜きで読み解く

公開:2026年9月14日/最終更新:2026年9月14日

料金の見せ方
——同じ金額で、選択が変わる

料金表は事実の一覧に見えます。しかし同じ金額でも、差額で書くか総額で書くかで選択が変わる——それを4実験と6補助研究で示した論文があります。

この記事の要点
  • 差額フレーミング(「あと○○円で」)は上位プランの選択を増やす。総額を併記しても効果は残った
  • アンカリングは支払意思額の推定を44〜51%動かす。ただし説明を受けると60〜80%減少した
  • 分割価格が有利に働く最大の条件は「総額が示されていないこと」(27論文12,878名のメタ分析)
  • 反証——360万件の実データでは、デコイ効果は選好の約1%にとどまった
  • 反証——理由を添えた分割価格は透明性として働き、フェアトレード商品の購入を20%増やした

よく言われていること——料金表は事実の一覧だから、読めば適切に比べられる。
研究が示していること——同じ金額でも、「あと2万円で」と書くか「合計8万円」と書くかで、高いほうのプランが選ばれる割合が変わります。総額を併記しても、その効果は残りました。

差額で言うか、総額で言うか

4つの実験と6つの補助研究からなる研究が、この差をはっきり示しています(Allard ら, 2019, Journal of Marketing Research)。

提示のしかた書き方結果
差額フレーミング「あと20ドルで」上位プランの選択割合が高い
包括フレーミング「合計60ドル」基準

機序として著者らが挙げているのは「価格の焦点化(pricing focalism)」です。差額提示は価格の差に注意を集める——その差は総額より小さいので、高く感じられにくくなり、上位プランが選ばれやすくなる。

この効果が頑健だった条件が、重要です。

  • 購入の総額を表示しても、効果は残った
  • 条件の悪い取引でも、効果は残った
  • 差額が簡単に計算できる場合でも、効果は残った
  • ただし——遅く、努力を要する意思決定プロセスを採る消費者では、効果は小さくなった

フィットネスの料金表に置き換えると、こうなります。「スタンダード 8,800円/プレミアム 13,200円」と並べるのと、「スタンダード 8,800円/プレミアムは +4,400円」と書くのとでは、後者のほうがプレミアムが選ばれやすい——この研究の示すところは、そういうことです。

最初に見た数字が、基準になる

もうひとつの基本的な現象がアンカリングです。最初に提示された数字が、その後の価格判断の基準点になります。

どれくらい動くのか。選択実験の枠組みで測った研究の数字です(Lemos ら, 2022, Agricultural and Resource Economics Review)。

  • 価格アンカリングは、支払意思額の推定値を 44〜51% 変えた
  • ——そしてアンカリングについて説明を受けると、その効果は 60〜80% 減少した

2行目は、この記事の存在理由そのものです。10節でもう一度扱います。

宿泊料金を題材にした実験も、実務的な所見を出しています(Tanford ら, 2018, Journal of Travel Research)。

条件結果
高いアンカー 対 低いアンカー高いアンカーのほうが支払意思額が上がる
平均価格を示す 対 価格帯(レンジ)を示す平均価格を示されたほうが多く払う
予算目標との不一致予算と高いアンカーが両立しないとき、アンカリング効果は弱まる(低いアンカーでは弱まらない)

同研究が指摘する「指標の不一致(metric incompatibility)」も重要です。宿泊料金は1泊あたりで表示されるのに、消費者は旅行全体の予算を頭に持っている。——月謝は「月あたり」で示されるのに、続けるかどうかは年単位の判断だ、という構図と同じです。

90名を対象とした研究では、アンカリングのほうがフレーミングより支配的な影響を持つという結果も出ています(Daniel, 2025)。体験場面での価格判断にもアンカリング効果が確認され、性別・性格・知識・技能が効果を調整していました(Zong & Guo, 2022, Frontiers in Psychology、43引用)。

反証——すべてのアンカーが効くわけではない

公平に書きます。アンカリングは万能ではありません。

59件に引用されている研究は、題名そのものが「すべてのアンカーが等しく作られているわけではない」です(Sugden ら, 2013, Journal of Economic Psychology)。

「アンカー値が、その財について当人が買い手または売り手となりうる妥当な価格として枠づけられているときにのみ、アンカリング効果が見られた。」
また、受取意思額(WTA)のほうが支払意思額(WTP)より効果が強いという非対称も報告されています。

公共のレジャーサービスを題材にした3つの実験も、結果は混在でした(Crompton ら, 2016, Journal of Leisure Research)。実験1と2では、デコイと文脈に関連する数字の効果が見られた条件と見られなかった条件があり、実験3では、文脈と無関係な数字を使った場合にアンカリング効果は明確に見られませんでした。

——「無関係な数字でも人は影響される」という俗説より、実際の効果は限定的です。効くのは「もっともらしい価格」として提示された数字です。

料金を、分けて見せる

入会金・事務手数料・水素水オプション・ロッカー代——料金を複数に分けるのが良いのか、込みにするのが良いのか。

17年分の研究を統合したメタ分析があります。27論文・149観察・N = 12,878(Abraham & Hamilton, 2018, Journal of Marketing Research)。

分割価格が、全部込みの価格より好意的に受け取られる条件:

  • 総額が示されていないとき
  • 価格水準が高いほど
  • 追加料金がその商品カテゴリで典型的なものであるとき
  • 追加料金が高い便益を提供すると知覚されるとき
  • 商品カテゴリが実用的(快楽的でない)であるとき

1つめが最も実用的です。総額が書かれていない分割表示は、条件が揃っています。

173件に引用されている古典的な実験も、分割提示のほうが好意的に評価され、より多く選ばれたことを示しています。ただし効果はどの構成要素を分割したかによって調整され、著者らは「価格を分割することが、分割された構成要素とそれに関連する製品特徴に払われる注意を変えた」と結論しました(Chakravarti ら, 2002, Journal of Consumer Psychology)。

そして、実際の購買を伴う大規模な自然実験の結果です(Goh ら, 2013, Information Systems Research、58引用)。

「最終価格とカスタマイズされたバンドルの規模が、異なる価格体系のあいだで同じであっても」——購買意欲、バンドルの規模、取引の知覚は、多部構成価格の設計によって有意に左右された。

同じ金額、同じ内容。変わったのは見せ方だけ。それでも行動が変わりました。

効きやすい人、効きにくい人

ここには、はっきりした所見があります。

3つの実験と自然場面での研究からなる論文が、価格戦術説得知識(pricing tactic persuasion knowledge, PTPK)——つまり「価格の見せ方には手口がある」という知識——の役割を調べています(Das ら, 2020, Journal of Business Research)。

条件結果
PTPK が低い(手口を知らない)分割価格のほうを好んだ。機序は「処理の容易さ」
PTPK が高いその選好は現れなかった
気分が良い状態分割価格の商品の魅力度と購買意図が高かった

差額フレーミングの研究でも、「遅く、努力を要する意思決定プロセスを採る消費者では効果が小さくなった」と報告されています(Allard ら, 2019)。価格の精密さ(端数価格か丸めた価格か)を扱った研究では、合理性を重んじる傾向が高い人や、時間圧力の高い状況にある人で、精密な価格提示のときにデコイ効果が高くなるという、やや複雑な所見が出ています(Cui ら, 2020, Journal of Business Research)。

共通しているのは「速く決めると効く、遅く決めると効きにくい」という構図です。
——見学や体験の当日に決めさせる導線は、この観点から見ると合理的な設計です。事業者にとって、という意味で。

価格そのものが、品質の手がかりになる

もうひとつ、避けにくい経路があります。「高いものは良いものに違いない」という推論です。

同一の実験を数週間ずつ空けて4回行い、価格が品質評価と支払意思額に及ぼす影響を調べた研究の結果です(Yu ら, 2025, Canadian Journal of Agricultural Economics)。

所見内容
価格の影響外見の評価と味の評価に、有意な影響を与えた
媒介の条件消費者がその商品について不完全な品質情報しか持たない場合にのみ、品質評価が価格→支払意思額の関係を媒介した
時間価格の限界効果は、時間とともに変化した

条件に注目してください——「不完全な品質情報しか持たない場合にのみ」。
運動サービスは、この条件に強く当てはまります。効果は数か月先にしか分からず、他店との比較も難しく、指導の質は体験1回では判断しきれません。
——品質が分かりにくい商品ほど、価格が品質の代理指標として働きます。「高いから良いはず」という推論が起きやすいのは、私たちの業界のほうです。

3つ目の選択肢——おとり

選択肢を2つではなく3つ並べ、明らかに損な3つ目を置くと、狙った選択肢が選ばれやすくなる。これがデコイ効果(おとり効果)です。

飲食・宿泊業を対象に、探索的混合法で4つの実験を行った研究では——

文脈結果
レストランの商品バンドルより高価なバンドルの選択が増えた
ホテルのキャンセルポリシーより高価なほうの選択が増えた
ホテルの商品バンドル増えなかった

(Bujisic ら, 2024, International Hospitality Review)。文脈によって効いたり効かなかったりするのが、この効果の特徴です。

理論面では、2020年の PNAS の研究が整理をつけました(Dumbalska ら, 2020)。誘引効果・類似性効果・妥協効果という3つの古典的バイアスについて、デコイを2次元空間で網羅的にサンプリングし、影響の地図を作ったものです。

「3つのデコイ効果は別個の現象ではなく、より一般的な原理——属性の値が、競合する選択肢が提供する文脈から反発される——のすべて特殊例である。」

事業者側では、これは最適化の対象になっている

この記事が扱ってきたのは消費者側の反応です。事業者側では、同じ現象が数理モデルとして定式化されています。

オンライン商品の価格設定を扱った研究は、消費者が商品の価格と販売実績の両方にアンカーされると想定した価格モデルを提案しています(Liu ら, 2022, International Transactions in Operational Research)。アンカリング・調整ヒューリスティックに基づく効用関数で消費者の認知バイアスを記述し、多項ロジットモデルで選択行動と最適価格戦略を分析するものです。

同論文は、「プラットフォーム企業に柔軟な価格設定メカニズムを提供し、履歴消費データに基づく動的価格設定のための理論的基礎と意思決定支援を提供できる」と述べています。

デコイについても同様です。小売業者がどのデコイ戦略(幻のデコイを含む混合バンドル/デコイ混合バンドル)と販売価格を選べば利益が最大化するかを、ゲーム理論的なサプライチェーン模型で解いた研究があります(Yuan ら, 2022, Journal of Retailing and Consumer Services)。

この研究には、読み手にとって興味深い所見もあります——いずれのデコイ戦略の下でも、小売業者とメーカーは消費者の「低い参照価格効果」から利益を得る一方、「高い参照価格効果」は両者の利益を損なう。

参照価格効果が高いとは、おおむね「消費者が明確な相場観を持っている」状態です。
——相場を知っている客が増えると、事業者の利益は下がる。これは、この記事のような文章を私たちが書くことの利害を、正直に示しています。

反証——現実の売り場では、効果は小さい

ここまでは実験室の話です。実際の買い物ではどうか。

英国のスーパーマーケットにおける360万件のワイン取引のデータを分析した研究があります(Devine ら, 2025, NPJ Science of Learning)。

  • 劣ったデコイ選択肢の存在は、狙いの選択肢が選ばれる確率を高めた——誘引効果の特徴が、現実のデータでも検出された
  • しかし効果の強さは、全体として控えめだった——選好の変化はおよそ 1%
  • 効果の強さは、その消費者自身の経験の履歴に依存していた

約1%。実験室で報告される効果に比べれば、はるかに小さい値です。著者らはこれを「原理の証明」——現実の複雑な選択環境でも、こうした文脈効果が検出可能であることを示した——と位置づけています。

この節は、この記事全体の効果量に対する留保です。
実験室で「選択割合が大きく動いた」という報告を、そのまま自分の行動に当てはめるべきではありません。
——ただし、1%でも、取引数が多ければ事業者にとっては意味のある差になります。「消費者にとって小さい」と「事業者にとって小さい」は違います。

反証——分割価格は、良い方向にも使える

もうひとつ、方向の違う所見を置きます。

フェアトレード商品の価格を、フェアトレード分を独立した価格構成要素として明示する形で分割提示した3つの実験です(Bürgin & Wilken, 2021, Journal of Business Ethics)。

  • 分割価格は、フェアトレード商品への購買意図を高めた
  • 機序は価格の公正さの知覚の上昇。それは透明性を通じて媒介された(ただし、その価格構成要素についての言語的な正当化が併記されている場合のみ)
  • 言語的な正当化がない場合は、透明性ではなく「想起された価格の低さ」が効果を説明した
  • 誘因整合的な研究では、フェアトレード商品の購入が20%増加

同じ「分割して見せる」という手法が、理由を添えれば透明性として働き、添えなければ総額を小さく見せる装置として働く——この対比が、読み手にとっての判断基準になります。

対抗策は、あるのか

この記事でいちばん実用的な所見です。

冒頭で触れた研究は、アンカリングへの介入も検証していました(Lemos ら, 2022)。介入の中身は単純で、「人は、潜在的に恣意的な情報に選択を係留させる傾向がある」と回答者に知らせるだけです。

条件結果
アンカリングによる支払意思額の変化44〜51%
アンカリングについて説明を受けた後その効果が 60〜80% 減少

そして、差額フレーミングの効果は「遅く、努力を要する意思決定プロセス」で小さくなりました(Allard ら, 2019)。分割価格への選好は、価格戦術についての知識が高い人では現れませんでした(Das ら, 2020)。

3つの独立した研究が、同じ方向を指しています。
——手口を知っていることと、その場で決めないこと。この2つで、効果はかなり減ります。
ダークパターンの分野では「透明性に基づく是正策は効果を緩和できなかった」という報告があります別記事参照)。価格提示については、そこまで悲観的な結果にはなっていません。

では、料金表をどう読むか

見せ方読み方
「あと○○円で」総額に戻して比べる。差額提示は、総額が併記されていても上位プランの選択を増やしました
入会金・事務手数料・オプションが別建て合計を自分で計算する。分割価格が有利に働く最大の条件は「総額が示されていないこと」です
「1日あたり○○円」自分が判断している単位に揃える。月謝を日割りで示すのは、指標の不一致を作る操作です
3つのプランが並んでいる真ん中が選ばれるように設計されている可能性を想定する。ただし現実の売り場での効果は約1%という報告もあります
最初に見せられた「通常価格」もっともらしい価格として提示されたアンカーは効きます。関係のない数字は効きません
その場で決めるよう促される持ち帰る。効果が小さくなるのは、遅く努力して考えたときです
別建ての料金に理由が書いてあるこれは良い兆候でありうる。言語的な正当化を伴う分割は、透明性として働いたという報告があります

ひとことでまとめると——総額に戻し、単位を揃え、その場で決めない。この3つです。

利害関係の明示

このサイトは、立川のヨガ・ピラティススタジオ「オンザショア」およびボクササイズのプログラムと同じ運営です。この記事は、料金の見せ方の手口を扱っています。当スタジオも料金表を作っている側です。

自社の現状を書きます。当スタジオは複数のプランを併記しており、この記事でいう「3つ並べる」設計に該当します。デコイを意図して置いたことはありませんが、そう設計していないことを、外から確かめる方法はありません。——確かめられる形にするために、今後は各プランの月額と、入会金・事務手数料を含めた初月総額、および1年続けた場合の総額を併記します。上の表で「総額に戻して比べる」と書いた以上、こちらが先に出すのが筋です。

この記事の限界

  • 実験室の研究が大半です。現実の売り場で測った唯一の大規模研究では、効果は選好の約1%でした。
  • フィットネス業界を対象とした研究は、この記事に含まれていません。引用は農産物・宿泊・飲食・ワイン・情報財・公共レジャーのものです。
  • 効果の方向が条件で変わります。分割価格は有利にも不利にも働き、デコイ効果は文脈によって出たり出なかったりしました。
  • 日本の消費者を対象とした研究は含まれていません。価格表示の慣行(税込・税別、入会金の扱い)は国によって違います。
  • 「対抗策が効く」という所見も、1つの選択実験に基づきます。60〜80%の減少という数字が他の文脈でも再現するかは、確かめられていません。
  • この記事は抄録に基づいており、原論文の全文は確認していません。

出典

  • 【差額提示が上位プランの選択を増やす】Allard, T. et al. (2019). When "More" Seems Like Less: Differential Price Framing Increases the Choice Share of Higher-Priced Options. Journal of Marketing Research. doi:10.1177/0022243719851490
  • 【分割価格のメタ分析・27論文12,878名】Abraham, A. T. & Hamilton, R. W. (2018). When Does Partitioned Pricing Lead to More Favorable Consumer Preferences? Meta-Analytic Evidence. Journal of Marketing Research. doi:10.1177/0022243718800724
  • 【アンカリングは WTP を44〜51%動かし、説明で60〜80%減る】Lemos, S. R. et al. (2022). The effects of information about price anchoring: Evidence from a choice experiment. Agricultural and Resource Economics Review. doi:10.1017/age.2022.10
  • 【360万件の実データ・効果は約1%】Devine, S. et al. (2025). How decoy options ferment choice biases in real-world consumer decision-making. NPJ Science of Learning. doi:10.1038/s41539-025-00341-2
  • 【価格戦術の知識が低い人ほど分割価格を好む】Das, G. et al. (2020). When do consumers prefer partitioned prices? The role of mood and pricing tactic persuasion knowledge. Journal of Business Research. doi:10.1016/j.jbusres.2020.05.013
  • 【反証・すべてのアンカーが効くわけではない】Sugden, R. et al. (2013). Not all anchors are created equal. Journal of Economic Psychology. doi:10.1016/j.joep.2013.06.008
  • 【反証・分割価格は透明性としても働く(購入20%増)】Bürgin, D. & Wilken, R. (2021). Increasing Consumers' Purchase Intentions Toward Fair-Trade Products Through Partitioned Pricing. Journal of Business Ethics. doi:10.1007/s10551-021-04938-6
  • 【同じ金額・同じ内容でも、見せ方で行動が変わる】Goh, K.-Y. et al. (2013). The Framing Effects of Multipart Pricing on Consumer Purchasing Behavior of Customized Information Good Bundles. Information Systems Research. doi:10.1287/isre.1120.0428
  • 【高いアンカー・平均提示・指標の不一致】Tanford, S. et al. (2018). The Influence of Pricing Strategies on Willingness to Pay for Accommodations: Anchoring, Framing, and Metric Compatibility. Journal of Travel Research. doi:10.1177/0047287518793037
  • 【デコイ効果の地図・3つのバイアスは同じ原理の特殊例】Dumbalska, T. et al. (2020). A map of decoy influence in human multialternative choice. PNAS. doi:10.1073/pnas.2005058117
  • 【分割提示は注意の配分を変える】Chakravarti, D. et al. (2002). Partitioned Presentation of Multicomponent Bundle Prices: Evaluation, Choice and Underlying Processing Effects. Journal of Consumer Psychology. doi:10.1207/S15327663JCP1203_04
  • 【文脈によって効いたり効かなかったり】Bujisic, M. et al. (2024). Anchoring decisions: the role of decoy pricing in consumer choices. International Hospitality Review. doi:10.1108/IHR-04-2024-0023
  • 【公共レジャーでは結果が混在】Crompton, J. L. et al. (2016). Experiments Testing the Effectiveness of Purposeful Anchoring on Reference Price in the Context of Public Leisure Services. Journal of Leisure Research. doi:10.18666/JLR-2016-V48-I4-6535
  • 【価格の精密さと意思決定の速さ】Cui, Y. et al. (2020). Impact of preciseness of price presentation on the magnitude of compromise and decoy effects. Journal of Business Research. doi:10.1016/j.jbusres.2020.10.017
  • Zong, Y. & Guo, X. (2022). An Experimental Study on Anchoring Effect of Consumers' Price Judgment Based on Consumers' Experiencing Scenes. Frontiers in Psychology. doi:10.3389/fpsyg.2022.794135
  • Daniel, J. (2025). Effect of Anchoring and Framing on Price Perception Among Consumers. International Journal For Multidisciplinary Research. doi:10.36948/ijfmr.2025.v07i06.62311
  • Abraham, A. T. & Hamilton, R. W. (2018). When Does Partitioned Pricing Lead to More Favorable Consumer Preferences? Journal of Marketing Research. doi:10.1509/jmr.14.0567
  • Yu, L. et al. (2025). Quality cue or price anchoring: The effect of price on consumer behavior in repeat experiments. Canadian Journal of Agricultural Economics. doi:10.1111/cjag.12385
  • Liu, X. et al. (2022). Optimal pricing of online products based on customer anchoring-adjustment psychology. International Transactions in Operational Research. doi:10.1111/itor.13149
  • Yuan, Y.-J. et al. (2022). Retailer's decoy strategy versus consumers' reference price effect in a retailer-Stackelberg supply chain. Journal of Retailing and Consumer Services. doi:10.1016/j.jretconser.2022.103081

よくある質問

「あと○○円で」という表示は、なぜ効くのですか

価格の差に注意が集まるためです(価格の焦点化)。差額は総額より小さいので高く感じられにくく、上位プランが選ばれやすくなります。4実験と6補助研究の結果、総額を併記しても、悪い取引でも、差額が計算しやすくても、この効果は残りました。

最初に見た価格に引きずられますか

引きずられます。選択実験では支払意思額の推定が44〜51%変わりました。ただしすべてのアンカーが効くわけではなく、その財の妥当な価格として提示された数字にのみ効果が見られ、文脈と無関係な数字では効果が確認されませんでした。

入会金や手数料が別建てなのは問題ですか

分割価格が全部込みより好意的に受け取られる最大の条件は「総額が示されていないこと」です。逆に、なぜその料金が必要かの説明を添えた分割は、透明性として働き購買意図を高めたという報告もあります。総額の併記と理由の説明があるかを見てください。

3つプランが並んでいたら、真ん中を選ばされているのですか

実験室の研究ではデコイ効果が繰り返し確認されています。ただし360万件の実際の購買データを分析した研究では、効果は選好の約1%と控えめでした。また文脈によって出たり出なかったりします。

どうすれば影響されずに済みますか

3つの独立した研究が同じ方向を示しています。手口を知っていること(説明を受けると効果が60〜80%減)、遅く努力して考えること(差額フレーミングの効果が小さくなる)、価格戦術の知識があること(分割価格への選好が現れない)。実務的には「総額に戻す・単位を揃える・その場で決めない」の3つです。