立川の美容・健康・ダイエット情報ガイド数字と広告表現を、宣伝抜きで読み解く

クッションの厚い靴でけがは減るのか|ランニングシューズの広告と848人の試験

848人の試験では硬い靴でけがの危険が高く、体重別では軽い人に差がありました。厚さと柔らかさを分け、足の形の研究も照合。試作靴の結果を市販品に当てはめる際の限界がわかります。

クッションの厚い靴でけがは減るのか|ランニングシューズの広告と848人の試験

「硬い靴で走った参加者は、柔らかい靴を使った参加者よりけがの危険が高かった」と、Malisoux(2020)は結論づけています。研究の結論を日本語に訳すと、クッションを勧める広告とよく似た言葉になります。では、底の厚い靴を選べばけがを防げて、足の形に合わせればさらに安心なのでしょうか。柔らかいクッションが有利だった試験はありますが、市販の靴を厚さで選ぶだけでけがが減るという答えにはなりません。

昭和記念公園で走り出す前、ベンチで靴ひもを結びながら、隣に置いた靴の厚い底に目が向く場面を考えてみます。足を守ってくれそうな外見と、実際に走り続けた人のけがの記録は、別々に確かめる必要があります。冒頭の試験が変えたのはクッションの性質であり、比べた相手は硬いクッションの試作靴でした。広告の「衝撃吸収」という説明を読むときも、底の見た目、足裏の感触、けがの発生という異なる話を分けると、選ぶ理由が明確になります。

厚さ、柔らかさ、けがの少なさを分ける

厚底という言葉は、まず靴底の厚みを表します。クッションという言葉は、着地したときに靴が力を受け止める性質の説明に使われます。そして、けがを防ぐという言葉は、その靴を履いて走った人に起きる結果を表しています。広告ではこれらが続けて語られますが、厚い底の写真を見たことと、人を追跡した試験の結果を読んだことは同じではありません。

確かめたい結果がけがなら、中心になるのは走った人の記録です。素材を押したときの変形や足裏の柔らかい感触は、靴の特徴を知る材料になります。けがの予防を評価するには、それに加えて、どんな人がどの靴を履き、何をけがとして数えたかを読みます。たとえば走った直後の違和感と、走る活動を長く休むほどの不調では、同じ「足への負担」という表現でも内容が変わります。

Malisoux(2020)が扱ったのは、健康で趣味として走る人たちでした。クッションの性質だけが異なる試作靴を比べ、走る活動とけがを追っています。広告の説明にこの試験が使われていたら、まず製品の厚さの話なのか、硬さの話なのかを照らし合わせます。厚さと硬さは別です。短いこの区別を持っておくだけでも、外見から予防効果まで一息に読み進めずに済みます。

靴を履いた瞬間に感じる快適さも、購入を考える際には大切です。ただし、それをけがの発生と同じ評価項目にせず、履き心地として記録すると整理しやすくなります。「柔らかく感じた」「走っても痛みが出なかった」「研究でけがが少なかった」は、それぞれ確かめた範囲が違います。自分の感覚と研究の数字を別の欄に置くつもりで読むと、どちらも判断に使えます。

848人の試験では硬い靴で危険が高かった

Malisoux(2020)は、健康なランナー848人に、クッションの性質だけが違う試作靴を無作為に配りました。無作為とは、本人の好みなどで使用する靴を決めず、偶然によって群を分ける方法です。二重盲検と呼ばれる、参加者と評価する側に割り当ての情報を伏せる設計も用いられました。走り慣れた人が好きな靴を自由に選ぶ調査より、靴の違いを検討しやすい仕組みです。

追跡は6か月で、けがは、走る活動を少なくとも7日間減らすか中断させた身体の不調と定義されました。靴を履いたときの柔らかさの点数ではなく、活動に支障が出たかを調べています。硬い靴の群は柔らかい靴の群よりけがの危険が高く、SHRは1.52、95%信頼区間は1.07-2.16でした。SHRは、けが以外の理由で観察が終わることも考慮しながら、発生の危険を群どうしで比べる統計指標です。

95%信頼区間は、データから推定される値の不確かさを幅で示したものです。この比較では、差がないことを示す基準をまたがず、硬い靴で危険が高い方向に幅がありました。一方、SHRの数字は参加者のうち何人がけがをしたかという割合ではありません。買い替えれば自分のけががどれほど減るかを読む前に、集団間の比較に使われた指標だと押さえるのが先です。

この試験の長所は、変える特徴をクッションに絞ったことにあります。市販品を見比べるときは底の形や足を包む部分も目に入りますが、研究の問いはもっと限定されています。広告に「848人」と大きく書かれていたら、人数の隣に、試作靴、硬さの比較、活動を減らした不調という条件も並べて読みます。大きな人数に注目するのと同じくらい、実際に比べた内容を具体的にすることが役立ちます。

体重が重い人ほど有利、という結果ではなかった

体重が重ければ柔らかい靴の恩恵も大きい、と考えたくなるかもしれません。ところがMalisoux(2020)で体重別に調べた結果は、その予想と異なりました。体重の軽い群では、硬い靴のSHRが1.80、95%信頼区間が1.09-2.98で、けがの危険が高い結果でした。体重の重い群ではSHRが1.23、95%信頼区間が0.75-2.03となり、硬い靴と柔らかい靴の間に明確な差は出ませんでした。

さらに、この試験では体重そのものとけがの危険の関連も明確ではなく、SHRは1.00、95%信頼区間は0.99-1.01でした。ここで比べているのは、体重の影響と、体重別に見た靴の影響という異なる内容です。「重い人はけがをしやすい」と「重い人には柔らかい靴が有利」は別の主張になります。研究を紹介する文章で体重が登場したら、どちらの関係を述べているかを確かめます。

重い群の信頼区間には、差がない場合も含まれています。これは効果が完全に同じだと決着した意味ではなく、この群で明瞭な差を示す結果にならなかったという読み方です。また、軽い群で差が出たことを、そのまま個人向けの体重区分として使うと、研究の対象集団という条件が抜け落ちます。購入時には体重だけで候補を確定させず、論文での群の分け方と自分の状態を分けて扱います。

体重別の分析は、誰に結果が現れたかを考える材料です。全体で柔らかい靴が有利だったという説明だけでは、研究の重要な部分が省かれます。反対に軽い人の結果だけを強調すれば、今度は全体の比較や重い人の結果が見えなくなります。広告を読むときには、全体の結論と、条件によって違った部分を並べて残すと、靴選びに過剰な期待を乗せずに済みます。

12試験をまとめると、比較相手で答えが変わる

Relph(2022)は、成人の走行による脚のけがを扱った12試験、合計11,240人の結果を系統的レビューで検討しました。系統的レビューとは、決めた条件で研究を集め、その結果と研究方法をまとめて評価する方法です。試験の期間は6〜26週で、異なる種類の靴の比較が含まれています。ここでは「クッションがあるか」という言葉だけでまとめず、どの靴と比べた結果なのかが重要になります。

標準的なクッションのある靴と、構造やクッションを抑えたミニマリストと呼ばれる靴の比較では、RRは0.77、95%信頼区間は0.59〜1.01でした。RRは相対危険で、けがをした人の割合を群どうしで比べる指標です。推定値はクッションのある靴に有利な方向ですが、幅には差がない場合も含まれ、証拠の確実性は低いと評価されました。著者らは、この比較で脚のけがをする人の数はほとんど変わらない可能性があるとまとめています。

レビュー全体でも、多くの比較でけがの減少は示されず、証拠の確実性は低いか非常に低いと評価されています。靴の種類を参加者に隠しにくいこと、試験ごとにけがの定義が違うこと、比較できる試験が少ないことが評価に関わります。人数を足した大きさだけでなく、比べ方がそろっているかを読む必要があります。広告の言い方に対応させると、研究結果は次のように整理できます。

広告の言い方 研究で比べた内容 研究の結果
柔らかいクッションが足を守る Malisoux(2020)の硬い試作靴と柔らかい試作靴 全体では硬い靴でけがの危険が高く、体重別では軽い群に差があった
クッションのある靴なら薄底よりけがを防げる Relph(2022)の標準的なクッション靴とミニマリスト靴 RR 0.77、95%信頼区間0.59〜1.01で、証拠の確実性は低い
足の形に合わせればけがが減る Relph(2022)の足の形による靴の割り当て けがを減らす効果は示されず、この比較の確実性は中等度
内側に倒れる足には特別な靴が必要 Nielsen(2014)の普通の靴を使った初心者の追跡 中程度の回内がある人で、けがが増える関連は見られなかった

足の形を測ることと、けがを防ぐことの距離

足が内側へ倒れる動きを回内と呼びます。足の形を見て倒れ込みを抑える靴を選ぶ説明では、形を分類することから予防効果までが続けて語られがちです。Richards(2009)は、かかとのクッションや足の形に合わせた靴の選択について、研究の裏付けを調べました。調査条件を満たす元の研究は見つからず、著者らはこの処方の仕方を支える根拠がないと結論づけています。

この調査は2007年までの文献を扱っています。古い調査の結論を現在まで延ばすより、その後に何が検討されたかを見る必要があります。Relph(2022)でも、足の形によって靴を選ぶことによるけがの減少は示されませんでした。この比較の証拠は中等度の確実性と評価されましたが、対象は軍の新兵で、日常の余暇に走る人とは活動の背景が違います。

Nielsen(2014)は、デンマークの初心者927人が普通のランニング用の靴で走り始めた後を追跡しました。これは観察研究といい、研究者が足の形を変えて効果を試すのではなく、もともとの形とその後のけがの関係を見る方法です。252人が走行に関係するけがをしましたが、中程度の回内がある人で危険が増える関連は見られませんでした。足が内側へ倒れているという特徴だけを、不調が起きる予告のように受け止める必要は薄いという結果です。

強い回内の人については人数が少なく、危険の評価には追加の研究が必要です。足の形を測ることと、痛みのある人を診察することも目的が異なります。形の分類を知った後は、現在の痛み、腫れ、走る際の支障と分けて考えます。足型の結果だけで不安を大きくするより、日常や走行中にどのような問題があるかを具体的に伝えるほうが、相談の目的を明確にできます。

買う前は根拠を確認し、痛みがあれば靴選びを止める

購入前には、予防効果の説明に使われている研究名と比較相手を確認します。続いて、硬さを変えた試験か、靴の種類を比べた試験か、足の形で靴を割り当てた試験かを読み分けます。広告に出てくる靴と研究で使った靴の条件が結びついていれば、主張の範囲が具体的になります。資金提供や利益相反、つまり研究者と製品の関係が書かれた欄も、研究方法と一緒に確認する項目です。

試着では、指先の圧迫、かかとの擦れ、歩いたときの痛みなど、自分が感じる不都合を確かめます。これは研究で示された予防効果を再現する手順ではなく、履き続けるうえでの一般的な確認です。柔らかい感触が好みに合うかと、どこかに痛みが出るかは分けて判断します。広告の評価が高くても、今まさに足を圧迫する靴を我慢して履き続ける理由にはしません。

すでに痛みがある人には、靴の買い替えだけで対処を進める方法は向きません。腫れや夜間の痛みがあるときは走るのをやめ、整形外科などで症状を相談します。痛みが1週間以上続く場合も受診の目安です。これは新しい靴をその期間試すという指示ではなく、不調が続いていることを相談につなげる目安なので、強い症状を我慢して待つ必要はありません。

受診時には、痛む場所、始まった時期、走っているときと休んでいるときの違いを伝えると整理しやすくなります。靴を替えた時期も、症状の経過と一緒に記録しておきます。けがを数えた試験の定義を、自分が相談してよい最低条件として扱わないことも大切です。クッションを選ぶ理由は履き心地と研究の条件から考え、症状があるときの行動は症状そのものから決めます。

よくある質問

厚底と柔らかい靴は同じものですか

厚さは底の形状、柔らかさは力が加わったときの性質なので、広告を読むときは別の項目に分けます。848人の試験が比べたのは、クッションの性質だけを変えた試作靴でした。売り場で見える底の高さから、その試験と同じ条件だと判断するのではなく、製品のどの特徴に研究が対応するかを確認します。試着で感じた好みも、予防効果とは分けて選ぶ材料にできます。

足が内側に倒れていたら、特別な靴に替えるべきですか

Nielsen(2014)では、普通の靴で走り始めた初心者の中程度の回内と、けがの増加は結びつきませんでした。形の分類だけで買い替えを急ぐより、痛みや走行の支障があるかを切り分けます。足の形の結果を相談に持参する際も、症状の場所や経過を添えると目的がはっきりします。特定の動きで痛む人は、分類に合った商品探しを続ける前に症状の評価を受けます。

柔らかい靴にして楽なら、そのまま走ってよいですか

楽に感じることは履き心地の判断材料ですが、走り続ける判断には痛みの経過も必要です。走っている間だけでなく、休んでいるときの痛みや腫れも見ます。症状が続く場合は、柔らかさでその場の感覚が変わったことと分けて相談します。研究で比較された集団の結果よりも、いま起きている不調を優先して対応することが、靴選びと受診を混同しないための基本です。

この記事の限界

適用範囲は、健康な余暇のランナーや初心者、軍の新兵を対象に調べた靴とけがの関係であり、治療中の人の靴選びや、日本人の足に合う製品を直接示すものではありません。クッションの試験は6か月、レビューの試験は6〜26週で、多くの比較は証拠の確実性が低く、長年同じ靴を使った影響や強い回内の人の結果には不確かさが残ります。ここで示したのは研究を読むための整理で、個別の診断や医療上の助言に代わるものではありません。痛みが1週間以上続く、腫れる、夜も痛む場合は、広告に沿った買い替えを重ねる前に医療機関で相談し、症状に応じて走ることと靴選びを見直します。靴の広告にあるけがの数字では、どんなランナーを対象に、履く靴をどう変えて比べていますか。

参考文献

  1. Malisoux ほか. Shoe Cushioning Influences the Running Injury Risk According to Body Mass: A Randomized Controlled Trial Involving 848 Recreational Runners. Am J Sports Med. 2020;48(2):473-480.
  2. Relph ほか. Running shoes for preventing lower limb running injuries in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2022;8:CD013368.
  3. Richards ほか. Is your prescription of distance running shoes evidence-based? Br J Sports Med. 2009;43(3):159-162.
  4. Nielsen ほか. Foot pronation is not associated with increased injury risk in novice runners wearing a neutral shoe: a 1-year prospective cohort study. Br J Sports Med. 2014;48(6):440-447.

広告を疑う目を持ったまま、溶岩の床に立ってみる

  • 向く人: 効果の話を研究の規模と比較の条件で割り引いて聞ける人
  • 向く人: 暑い部屋で体を動かす時間そのものを習慣にしたい人
  • 向かない人: 汗の量や翌朝の体重の減り方で効果を判定したい人
  • 向かない人: 腎臓や心臓の持病で、暑い環境での運動を医師に止められている人

このサイトはオンザショア立川店の運営者が制作しています。立川駅から徒歩1分、溶岩プレートの床で行うホットヨガのスタジオです。

オンザショア立川店のHIIT案内

よくある質問

厚底と柔らかい靴は同じものですか

厚さは底の形状、柔らかさは力が加わったときの性質なので、広告を読むときは別の項目に分けます。848人の試験が比べたのは、クッションの性質だけを変えた試作靴でした。売り場で見える底の高さから、その試験と同じ条件だと判断するのではなく、製品のどの特徴に研究が対応するかを確認します。試着で感じた好みも、予防効果とは分けて選ぶ材料にできます。

足が内側に倒れていたら、特別な靴に替えるべきですか

Nielsen(2014)では、普通の靴で走り始めた初心者の中程度の回内と、けがの増加は結びつきませんでした。形の分類だけで買い替えを急ぐより、痛みや走行の支障があるかを切り分けます。足の形の結果を相談に持参する際も、症状の場所や経過を添えると目的がはっきりします。特定の動きで痛む人は、分類に合った商品探しを続ける前に症状の評価を受けます。

柔らかい靴にして楽なら、そのまま走ってよいですか

楽に感じることは履き心地の判断材料ですが、走り続ける判断には痛みの経過も必要です。走っている間だけでなく、休んでいるときの痛みや腫れも見ます。症状が続く場合は、柔らかさでその場の感覚が変わったことと分けて相談します。研究で比較された集団の結果よりも、いま起きている不調を優先して対応することが、靴選びと受診を混同しないための基本です。

あわせて読みたい