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定義
測定誤差という用語は、測定の仕組みから生じる観測値と測りたい値のずれを指します。校正の状況、繰り返し測定したときの散らばり、身体そのものの変動は区別して記録します。真の値は通常そのまま観測できず、繰返し測定や基準との比較から誤差の特徴を調べます。
測り方
同じ人の測定を複数回行い、人の間の違いと人の中のばらつきを分離します。測定時刻、姿勢、機器、測定者、準備条件を記録します。標準器との照合は系統的なずれを調べる手続で、繰返しの散らばりを測る手続とは目的が異なります。
読み違えやすい点
表示が小数第二位まであることは正確さの証明ではありません。平均を取ると独立した偶然誤差を減らせますが、全測定に共通する校正のずれは残ります。
判断が変わる六つの場面
校正のずれ
仮想例:質量の基準が10.0kgなのに全読取りが10.4kg。一定の0.4kgの偏りは回数を増やしても消えない。基準器、校正日、許容範囲を確かめます。
短時間の反復
仮想例:同じ試料で10.0、10.2、9.8という値を得た。平均との差だけでは真の値への距離は分からない。試料を置き直して測ったかを確認し、装置の分解能も調べます。
生体の変動
仮想例:朝と夕方の体重が異なる。水分や食事の変動と測定器の誤差を同じものとして扱えない。食事、排尿、衣服、測定時刻を確かめます。
群による誤差
仮想例:介入群だけ詳しく声を掛けて測定した。群の情報が測定方法を変えると比較に方向性のある偏りが入りうる。測定手順と測定者の群情報を確かめます。
平均化の条件
仮想例:同じ値を表示画面から三度転記した。独立した再測定ではなく平均化による精度改善は期待できない。測定をやり直した記録を確かめます。
変化の評価
仮想例:前後差0.3kgだけを成功と呼ぶ。誤差の大きさと生活条件が不明なら小さな差の意味は決まらない。個人内の誤差と変化の単位を確かめます。
基本の計算と適用条件
基準器と反復測定を併用する仮想例です。機器甲で10kgの基準を測ると、10.4、10.5、10.3kgでした。機器乙では9.8、10.0、10.2kgでした。甲は平均10.4kgで毎回の値は比較的そろい、乙は平均10.0kgですが散らばりは甲より大きい結果です。平均の基準からのずれと、平均との差は別の列で計算します。
甲の基準からの差は0.4、0.5、0.3kgです。この平均は0.4kgで、系統的な偏りを調べる情報になります。甲の平均10.4kgから各値を引いた差は0、0.1、−0.1kgとなり、反復の散らばりを調べる情報です。乙の平均からの差は−0.2、0、0.2kgです。正確さと精密さが同じ順位になるとは限りません。
三回の平均が基準と同じだったことだけで、乙に偏りがないと確定はできません。三回という少ない回数による不確かさがあり、別の質量の範囲でも同じ性能かを調べる必要があります。校正の検査では、基準の値にも不確かさがあること、置く位置、室温、機器の仕様を記録し、測定対象の範囲に対応する基準を選びます。
本人の体重をこの機器で追うときは、機器の性能の記録と本人の測定条件を別に置きます。食事や衣服による変化を校正のずれへまとめず、測定日時と準備条件を記入します。機器を替えた日を折れ線図へ印として残すと、前後の段差が本人の変化なのか機器の変更なのかを検討しやすくなります。測る回数を増やす前に、どの誤差を減らしたいかを決めます。
この考え方で読める広告
体重が0.8kg減ったというダイエット広告
仮想例:同じ人を朝食前と夕食後に測り、広告には前後差だけを載せたとします。開始日は厚い衣服を着て、終了日は薄い衣服に替えています。さらに開始時の機器は基準の10kgを10.4kgと表示し、終了時には校正を受けていました。体重の二つの値は読めても、条件の変更と本人の変化を分離するための記録がありません。
機器の偏りは基準物を置く検査、置き直しによるばらつきは同じ対象の反復、生体の変動は複数日を同じ時間帯に測る記録で調べます。最初にすべきことは三種類を一つの誤差として平均することではありません。校正前後の差、服装の差、時刻の差を別の列へ置くと、どの要因をそろえて測り直すかを決められます。
広告の撮影日と機器の校正日を照合し、補正がどの測定へ適用されたかを尋ねます。元の測定票に衣服や時刻が残っていなければ、後から数字だけを補正しても条件差を評価できません。資料に記録がある項目と不明な項目を分けて示してもらいます。
混同しやすい判断を分ける
反復測定の再現性
同じ対象で値が散らばる程度を見ると、偶然の変動を調べられる。基準から一律にずれる問題とは分ける。 反復測定の再現性の解説。
評価者間信頼性
測定者の違いによる値の変動を扱う。機器だけを固定しても測定者の判断のずれは残る。 評価者間信頼性の解説。
最小可検変化
誤差の大きさを個人の前後差へ対応させる指標で、測定値の変化を読む場面に使う。 最小可検変化の解説。
出典
- BMJ・測定誤差
- COSMIN・測定尺度の評価マニュアル
- Koo・Li:ICCの選択と報告
- 臨床上重要な変化と測定誤差
- 総務省統計局・なるほど統計学園(平均と標準偏差)
- COSMIN:測定特性の方法論
- BMJ・平均への回帰
よくある質問
測定誤差とは何ですか
測定誤差は、測りたい量と観測した値の食い違いです。
測定誤差と体重の日内変動は同じですか
同じではありません。機器や読取りの誤差と、水分・食事などによる身体の変動を分けて調べます。
測定回数を増やせば正しい値に近づきますか
独立した偶然誤差は平均で小さくできますが、一定の校正のずれは残ります。画面の同じ値を何度転記しても再測定にはなりません。