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定義
因果ダイアグラムという用語は、想定する原因と結果のつながりを矢印で記した図を指します。調整する変数は仮定に基づいて考え、交絡・媒介・合流点をそれぞれ見分けます。図はデータから自動的に確定する事実ではなく、時間順序や領域知識に基づく仮定の表現です。
測り方
介入A、結果Y、両者の共通原因L、介入後の変数を時間順に置きます。全効果を推定するなら介入から結果へ至る経路を残し、介入に入る矢印から始まる裏道を閉じる調整候補を検討します。測れない共通原因も図から省かず示します。
判断が変わる六つの場面
交絡の経路
仮想例:年齢が運動参加と体力評価の双方に影響する。年齢を通る裏道を考慮しない単純比較は介入の寄与と混ざる。年齢の測定時点と参加前の状態を確かめます。
媒介の経路
仮想例:運動参加が活動時間を変え、その後に体力が変わる。活動時間を調整すると全効果を推定する問いから変わりうる。全効果か直接効果かを確かめます。
合流点
仮想例:参加と健康状態の双方が再来場に影響する。再来場者だけを選ぶと共通結果による選択の関連が入りうる。非来場者を含む募集と追跡を確かめます。
逆向きの仮定
仮想例:体力が高い人ほど運動へ参加する。参加から体力への矢印だけでは参加前の選択を表せない。介入前の体力と時間順序を確かめます。
未測定の原因
仮想例:意欲が参加と生活の変化に影響するが測れていない。図に描くことで残る交絡を可視化する。意欲の代理変数の妥当性を確かめます。
時間を分ける
仮想例:今週の活動が来週の体調に、体調が翌週の活動に影響する。同じ時点へ循環を描くより時点別の変数で表す。反復データの時刻と履歴を確かめます。
基本の計算と適用条件
三つの形を並べる仮想例です。共通原因の形はA←L→Y、媒介の形はA→M→Y、合流点の形はA→C←Yです。Aを参加、Yを最終体力と置いたとき、Lは参加前の体力、Mは参加後の活動量、Cは再来場といった候補になります。実際にその矢印が成立するかは、時間順序と領域の知識から検討します。図を描いただけで矢印が証明されるわけではありません。
全効果を知りたいとき、A←L→Yの経路は介入の寄与ではない関連として調整を考えます。一方、A→M→Yは介入から結果へ至る経路なので、Mを調整すると知りたい全効果の一部を除く場合があります。再来場Cだけを条件にすると、AとYの間へ選択による関連を作る可能性があります。同じ回帰へ三つの変数を全て入れる判断は、役割を無視しています。
分析前に作る表は、変数名、測定時点、原因か結果かという仮定、取得できるかという四列です。参加意欲がLに含まれるが測れていなければ、図から省いて見掛けの調整完了にしません。未測定原因が残ることを示し、代理情報や感度分析の可能性を検討します。欠けた情報と、因果上は不要な情報を分けると、追加収集の目的が定まります。
一度の図が循環する場合は、時点を分けます。活動A1が体調Y1へ作用し、Y1が次週の活動A2へ作用するなら、A1→Y1→A2と時間順に置けます。現在の活動と現在の体調だけへ同時の矢印を描くより、履歴を保存する必要性が分かります。介入前の変数だけを使う通常の調整で足りるかという問いも、時点別の関係から検討できます。
この考え方で読める広告
参加した人のほうが健康だから効果があるという広告
仮想例:健康教室への参加と半年後の体力を比べる広告で、開始時の年齢が参加のしやすさにも体力にも影響するとします。年齢→参加、年齢→体力、参加→体力という矢印を描けば、参加と体力を結ぶ因果の経路以外に、年齢を経由する裏道が見つかります。矢印は調査から自動的に確定したものではなく、時間順序と知識から置く仮定です。
教室が日々の活動時間を増やし、その活動時間が体力へ影響するなら、活動時間は媒介変数です。参加前の年齢と同じように活動時間を調整すると、教室の全効果の一部を取り除くことがあります。半年後の再来場が参加と体調の双方から影響されるなら、再来場者限定の解析は合流点で対象を選ぶことになります。調整する変数を多くすればよいという結論は図からは出ません。
広告の調整済みという注記を、実際の解析に入れた変数一覧と照合します。図に描いた条件が未測定なら、描くだけで調整を実施したことにはなりません。参加後に測った変数を開始前の条件と呼んでいないか、各変数の記録日も確認します。
混同しやすい判断を分ける
交換可能性
共通原因を描くことで、条件付きの比較を支える仮定を言語化する。 交換可能性の解説。
傾向スコア
モデルに入れる介入前の交絡候補を、変数間の因果上の役割から選ぶ。 傾向スコアの解説。
逆確率重み付け
重みで閉じたい選択や交絡の経路を図へ対応させると、必要な変数が定まる。 逆確率重み付けの解説。
出典
- Hernán・Robins:Causal Inference: What If
- 比較効果研究における効果の識別
- Greenland・Pearl・Robins(1999)因果図と交絡の識別
- Cochrane Handbook・非無作為化研究の交絡と選択バイアス
よくある質問
因果ダイアグラムとは何ですか
因果ダイアグラムは、変数間に想定する因果の向きを矢印で表す図です。
DAGに描いた矢印はデータで証明済みですか
証明済みとは限りません。時間順序や知識に基づく因果の仮定を表し、観測された相関図とは違います。
測れた変数は全部調整したほうがよいですか
そうとは限りません。媒介変数や合流点を調整すると、問いを変えたり選択の偏りを作ったりします。