公開日: 更新日: 著者: 運営者情報
定義
差の差法という用語は、介入群と比較群の前後の変化量をさらに比較する方法を指します。介入がなければ両群の推移が並行するという仮定を検討します。介入前に似た推移が見えても、介入後の反実仮想を直接観測したことにはなりません。
測り方
同じ指標を介入前後に両集団で測り、時点別の平均と集団構成を記録します。介入前の複数時点の推移、同時に起きた施策、先取り行動を調べます。集団や時期に対応した標準誤差と導入時期の違いも検討します。
判断が変わる六つの場面
引き算の例
仮想例:介入群50→60、比較群40→44という仮想平均。変化10から変化4を引いた差の差は6になる。同じ尺度と同じ期間を確かめます。
平行な変化
仮想例:介入前の両群に毎年同じ増加が見えた。平行トレンドの妥当性を支える情報だが将来を保証しない。介入前の複数時点を確かめます。
別の同時施策
仮想例:介入地域だけ交通環境も変わった。比較群との差に別施策の影響が混ざる。導入時期の出来事を確かめます。
先取り
仮想例:開始予定を知った住民が開始前から活動を変えた。介入前の基準時点がすでに影響を受けている可能性がある。告知日と実施日を確かめます。
対象の入替り
仮想例:前調査と後調査で住民の年齢構成が変わった。平均の変化は同じ人の変化と集団構成の変化を含む。縦断か反復横断かを確かめます。
順次導入
仮想例:地区ごとに違う時期に開始した。効果が時期ごとに違う場合は単純な二方向固定効果に注意する。導入群と比較群の定義を確かめます。
基本の計算と適用条件
二地域の仮想平均を並べます。施策地域は開始前50点、開始後60点、比較地域は40点から44点です。施策地域の変化は10点、比較地域は4点で、差の差は6点になります。開始後の地域差16点だけを見る比較と、前から存在した10点の地域差を考慮する比較は異なります。四つの平均を表に置いてから計算します。
因果効果として読むには、施策がなければ施策地域も4点の変化だったと考える根拠が必要です。開始前の平均が同じことではなく、介入なしの変化が平行であることが問題です。過去に複数年の値があれば推移を描きますが、過去の平行な動きは将来の反実仮想の証明ではありません。地域の出来事、告知、別施策も記録します。
施策地域で同時に交通の利用条件が変わった場合、6点の差へその影響が含まれる可能性があります。両地域に同じ出来事があった場合とは違います。対象住民の転入転出や回答率も確認し、同じ人を追ったのか、各時点で別の標本を調べたのかを分けます。集団構成の変化が平均の変化へ混ざるため、人数と開始条件の比較が必要になります。
複数地域へ順次導入された施策では、導入時期と効果が異なることがあります。既に導入された地域を後の導入地域の比較として扱う解析が、知りたい平均へ対応するかを読む必要があります。単純な二時点二群の6点という計算を全ての導入設計へ広げません。導入群、比較群、時期、推定対象を明示すると、同じ差の差という名称でも内容を確認できます。
この考え方で読める広告
導入後に体重が2kg減った地域支援の広告
仮想例:導入地域の平均が70kgから68kg、非導入地域は69kgから68kgへ変わったとします。導入地域の減少は2kg、比較地域は1kgなので、差の差は−2−(−1)=−1kgです。単なる導入前後差より、共通する変化を一部差し引いた比較です。非導入でも同じ変化をしたという反実仮想の平行トレンドが中心になります。
導入前の複数時点で傾きが似ているかを調べられますが、それだけで導入後の平行性を証明はできません。導入地域だけ同時に食事助言を始めた場合、支援の単独効果を分けにくくなります。告知時点で行動が変われば、実施日より前に先取りの効果も起こります。前後の対象が違うなら、転入出や測定参加の変化を調べます。
広告の前後の折れ線で、介入直前の一点だけでなく複数の事前時点を求めます。比較地域に同時期の制度変更がなかったか、公開された実施日を照合します。図の横軸が群ごとに違う暦なら、同じ季節の比較になっているかも再確認します。
混同しやすい判断を分ける
交換可能性
比較集団が介入なしの変化を表すという仮定は、単純な群の同一性とは異なる。 交換可能性の解説。
因果ダイアグラム
介入と同時に変わる条件を時間順に描くと、混ざる別施策を整理できる。 因果ダイアグラムの解説。
傾向スコア
開始条件をそろえる手続を併用しても、平行トレンドの仮定は必要になる。 傾向スコアの解説。
出典
- 差の差法による非無作為介入の評価
- Hernán・Robins:Causal Inference: What If
- 比較効果研究における効果の識別
- Greenland・Pearl・Robins(1999)因果図と交絡の識別
よくある質問
差の差法とは何ですか
差の差法は、介入集団の前後変化から比較集団の前後変化を引く方法です。
差の差法なら同時期の変化を全部除けますか
全部は除けません。導入群だけの同時施策や構成の変化があれば、介入と混ざります。
導入前の傾きが同じなら平行トレンドは証明済みですか
証明にはなりません。介入がなかった場合の導入後の変化についても仮定が必要です。