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定義
操作変数法という用語は、介入の選択を変える変数を手掛かりに、交絡のある効果を推定する方法を指します。介入以外の経路で結果を変えないという仮定が必要になります。推定される対象は、操作変数によって介入選択が変わる人に限られる場合があります。
測り方
操作変数Z、介入A、結果Yの関係を定義し、ZとAの関連を調べます。単純な二値の設定ではZによる結果の平均差をZによる介入割合の差で割る推定がありますが、対象となる効果には追加の仮定が関わります。
判断が変わる六つの場面
関連性
仮想例:案内を受けた群の参加率60%、受けない群40%。参加率差20ポイントが介入を動かす関係の例になる。案内の割付と参加率の不確かさを確かめます。
除外制約
仮想例:案内自体が運動以外の生活指導を含んでいた。結果への直接経路があると参加だけの効果を分離できない。案内の内容と追加支援を確かめます。
独立性
仮想例:健康意識の高い地域だけへ案内を配った。案内と結果に共通する原因が残る可能性がある。配布規則と地域の特性を確かめます。
弱い操作変数
仮想例:案内の有無で参加率がほぼ同じだった。小さい分母は推定の不安定さや弱い操作変数の問題に関わる。第一段階の強さと区間推定を確かめます。
局所的な効果
仮想例:案内があれば参加する人の効果を推定した。追加条件の下で得られる局所効果を全住民へ広げない。従う人の定義と単調性を確かめます。
二段階の回帰
仮想例:線形モデルを二段階で計算した。通常の回帰の標準誤差をそのまま使うと不確かさを誤る。操作変数用の推定と標準誤差を確かめます。
基本の計算と適用条件
案内を無作為に送る仮想例です。案内群の参加率は60%、非案内群は40%、最終得点の群平均差は2点とします。介入率の差は0.2です。単純な設定で必要な操作変数の仮定と追加条件が成立すると、2/0.2=10点という局所効果の推定を考えられます。2点は案内の効果、10点は条件付きで参加の効果を扱うため、同じ対象の指標ではありません。
この計算で重要なのは分母の0.2だけではありません。案内が参加を通らず得点を変えないか、案内と潜在的な結果が独立かを調べます。案内に食生活の助言まで含まれていれば、参加以外の経路が生まれる可能性があります。割付が無作為でも、除外制約が自動的に成立するわけではありません。案内の実物と提供された追加支援を確認します。
さらに、案内があることで参加をやめる人がいないという単調性などを仮定する場合、効果の対象は案内に応じて参加を変える人になります。もともと参加する人や、どちらでも参加しない人の効果まで同じ数値で分かったとは言えません。推定結果の紹介では、操作変数が動かした参加と対象の定義を記し、全員の効果と混ぜないようにします。
参加率差が0.01なら、同じ2点の結果差を割った値は200点になります。これは高い効果の根拠ではなく、小さい関連を分母にする不安定さを示す計算です。関連の強さと区間推定を確認し、弱い操作変数へ適切な手法を使います。比の点推定だけを提示すると、分母の不確かさや仮定の弱さが見えなくなります。
この考え方で読める広告
案内を送ると体力が伸びたので参加の効果が分かったという広告
仮想例:無作為に案内を送った群の参加率が60%、送らない群が40%、体力の平均差が2点だったとします。参加率差0.20を第一段階とする簡単なWald比は2/0.20=10点です。この10点を参加の効果として読むには、案内が参加を動かし、結果への独立した影響を持たず、交絡から独立であるという条件が必要です。無作為な案内だけで全条件が成立するわけではありません。
案内に食事助言も含まれると、案内→食事→体力という経路が参加を経由しません。地域の健康意識によって案内先が選ばれれば独立性も疑われます。案内で参加率が上がる人、案内がなくても参加する人、いずれでも参加しない人は同じではありません。追加の単調性などの条件の下で、この比は案内によって参加を変える人の局所的な効果として解釈されます。
広告が無作為な案内を使ったと説明するなら、配布対象と配布手順の記録を求めます。担当者が参加しそうな人へ優先して配った場合は、案内の無作為性が崩れます。地域別の別支援や案内自体の教育内容も調べ、結果へ直接届く経路がないかを検討します。
混同しやすい判断を分ける
因果ダイアグラム
操作変数、介入、結果、未測定原因を配置し、除外制約を壊す経路を明示する。 因果ダイアグラムの解説。
交換可能性
操作変数の独立性と介入群の交換可能性は、同じ変数に対する仮定ではない。 交換可能性の解説。
傾向スコア
観測した共通原因をそろえる方法と、外的な介入の変動を使う方法を分ける。 傾向スコアの解説。
出典
- 操作変数を用いた因果推論
- Hernán・Robins:Causal Inference: What If
- 比較効果研究における効果の識別
- Greenland・Pearl・Robins(1999)因果図と交絡の識別
よくある質問
操作変数法とは何ですか
操作変数法は、介入へ影響する別の変数を利用して、交絡のある介入と結果の関係を調べる方法です。
無作為な案内なら操作変数の条件を満たしますか
独立性を支えても、それだけでは足りません。参加を動かす関連性と、参加以外を通らない除外制約も必要です。
操作変数の効果は参加者全員の平均ですか
一般にはそうではありません。追加条件の下で、操作変数によって参加を変える人の局所効果になる場合があります。