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定義
欠測という用語は、解析のために必要な対象の値が観測されていない状態を指します。空欄の数に加え、観測されない理由と結果との対応を考えます。値がない理由と観測された情報の関係が、解析への影響を決めます。
測り方
変数別、時点別、群別の欠測数とパターンを表にします。MCARは欠測が観測・未観測の値と独立、MARは観測した情報を条件に未観測値へ依存しないという仮定、MNARはその条件でも未観測値へ依存する状況です。
判断が変わる六つの場面
項目の空欄
仮想例:質問紙の一項目だけ無回答だった。全員の全結果がない追跡中断とは扱いが違う。項目単位の欠測と得点規則を確かめます。
機器の故障
仮想例:無作為な日程の測定が停電で失われた。独立性の根拠があればMCARの候補となるが自動判定はしない。故障日と対象の偏りを確かめます。
観測情報の依存
仮想例:開始時の年齢で非回答の頻度が違う。年齢を条件に欠測を扱えるかを検討する。年齢と他の欠測予測情報を確かめます。
未観測値の依存
仮想例:悪い最終成績の人ほど測定を避けた。未測定の成績そのものへの依存はMNARの可能性になる。中断理由と感度分析を確かめます。
完全な対象だけ
仮想例:全項目に回答した人だけを残した。対象の選択と精度の低下が生じうる。除外された人数と条件を確かめます。
ゼロとの違い
仮想例:未測定の活動時間を0分へ置き換えた。活動しないという観測値と不明な値を混同する。欠測符号と元の記録を確かめます。
基本の計算と適用条件
開始100人の質問紙で、全項目完了70人、一項目欠測20人、全項目欠測10人という仮想例を使います。欠測のある対象は30人ですが、各項目の欠測率は同じとは限りません。対象別の完了状況と、項目別の空欄数を二つの表へ分けます。どの計算に何人の情報を使えるかが分かると、完全な対象だけを残す影響を具体的に考えられます。
一項目の空欄で合計得点を作れない尺度と、指定した範囲で按分する規則の尺度では処理が異なります。独自に平均を代入せず、尺度の採点規則を確認します。対象へ該当しない構造的な空欄と、答えなかった空欄も分けます。ゼロという回答、測定できないという符号、質問の対象外という符号を同じ数値へ置き換えないようにします。
年齢が高い人ほど空欄が多い場合、年齢を条件にした後で未観測の回答へ依存しないと考えられるかを検討します。これはMARの候補となる構造であり、年齢差があるから自動的にMARと確定するわけではありません。回答しにくいほど高い疲労の値が欠けるなら、未観測値そのものへの依存を含む可能性も考えます。
次の収集で改善できる点は、質問の理解、測定の負担、追跡日程、記録の入力方法などです。解析による補完と、欠測を減らす収集設計は別の対策です。連絡が取れない人の理由を想像して埋めず、取得できた理由と不明な理由を残します。主解析の仮定だけでなく、未観測者の結果が異なる場合の感度分析を示すと、結論への依存が見えます。
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測定できた人の9割が改善という健康広告
仮想例:開始100人のうち80人が終了測定を受け、72人で改善が確認されたとします。72/80は90%ですが、20人の結果は不明です。未測定者をゼロ改善とする値と、全員改善したとする値では全体割合が72%から92%へ変わります。この幅は欠測へ仮定を置いた範囲で、標本の信頼区間とは異なります。
痛みが強いほど来られないなら、欠測は見えない結果そのものへ関係する可能性があります。開始時の痛みや通院距離で説明できるとするMARの仮定は、それらをモデルへ入れた後の条件付きの話です。データだけからMARとMNARを完全に選び分けることはできません。
広告の終了者数を開始名簿へ対応させ、測定を欠いた理由が群別に示されているかを見ます。連絡不能と測定不能を一つにまとめた表なら、いつ結果が失われたかを追加で尋ねます。結果を知らないまま除外したのか、悪化の記録があるのかも、欠測の仮定を読む材料です。
数値で確かめる
観測者の半数が改善した仮想例です。観測されない人を全員非改善とする下限と、全員改善とする上限を示します。未観測の結果に関する範囲であり、信頼区間や未観測者の実測値ではありません。
| 開始人数 | 観測人数 | 観測された改善人数 | 全体の下限 % | 全体の上限 % |
|---|---|---|---|---|
| 100 | 40 | 20 | 20.0 | 80.0 |
| 100 | 60 | 30 | 30.0 | 70.0 |
| 100 | 80 | 40 | 40.0 | 60.0 |
| 100 | 100 | 50 | 50.0 | 50.0 |
混同しやすい判断を分ける
補完法
空欄を埋める候補は観測した情報とモデルに基づき、真の値の復元ではない。 補完法の解説。
生存者バイアス
追跡で残った対象だけの結果を読むとき、欠測と選択が同時に関係する。 生存者バイアスの解説。
割付に基づく解析
元の群へ置くことと結果が測れていることを別に確認する。 割付に基づく解析の解説。
出典
- BMJ・多重補完の可能性と注意点
- Cochrane Handbook・無作為化試験のバイアス
- Hernán・Robins:Causal Inference: What If
- Rubin(1976)Inference and missing data:欠測機構と推論
- National Research Council(2010)The Prevention and Treatment of Missing Data in Clinical Trials
よくある質問
欠測値とは何ですか
欠測値は、定義上は取得したいが観測されていない値です。
欠測は0として入力してよいですか
結果0と不明な結果は違います。0を入れるにはその定義や仮定の根拠が必要です。
MARは偶然に欠けたという意味ですか
日常語の偶然とは違います。観測情報を条件にした後、未観測値へ依存しないという解析上の仮定です。