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トレーナーが付くと筋力の伸びは変わるのか|パーソナルトレーニングと自主練習の試験
88.2%という継続率が報告されたのは、トレーナーが対面で付く筋トレの群でした。Gavanda(2025)が比べたアプリによる指導と計画書だけの自主練習でも筋力は伸びましたが、スクワットの伸びは対面の群が上回りました。同じ運動をするなら、そばに指導者がいることで成果がどれほど変わるのかは、指導を選ぶときに気になる点です。指導者が付くと筋力の伸びが大きくなる試験はありますが、その差は種目や対象者によって変わり、自主練習にも伸びが見られます。
ジムの更衣室で着替えながら、スマートフォンに出てきた「指導つきなら結果が違う」という広告を見る場面を考えてみます。すでに自分で運動している人なら、今の練習に何が加わるのかを知りたくなるはずです。対面で動作を見てもらうのか、離れた場所から助言を受けるのか、計画を受け取って自分で進めるのかで、実際に受ける支援は違います。研究を読むときも、指導の有無だけでなく、扱う重さ、運動を続けた程度、測った種目をそろえて見ると、広告の「結果」の中身が見えてきます。
指導つきという表示を、実際の関わり方に分ける
Gavanda(2025)は、ドイツの筋トレ経験のある男女を対象に、対面での指導、アプリを使う指導、PDFの計画書による自主練習を比べました。無作為化比較試験とは、くじ引きのような方法で参加者を群に分け、条件の違いによる結果を比べる試験です。この研究では全身の筋トレに取り組む点を共通にして、支援の形を変えています。広告の「指導つき」を読む際にも、この分け方が役立ちます。
対面では、その場で指導者が練習に関わります。アプリの指導は画面を介する支援で、計画書だけの場合は受け取った内容を本人が実行します。運動の計画が手元にあることと、実行中に他者が関わることは、支援の中身として区別できます。比較するサービスについても、計画の提供までなのか、実行の様子に応じた対応まで含むのかを説明から拾います。
Gavanda(2025)の継続率は、対面88.2%、アプリ81.2%、計画書52.2%でした。この並びは、実際に運動を続ける部分で指導の形による違いがあったことを示します。筋力を最後に測るだけでは途中の練習が見えにくいため、継続の結果も一緒に読む意味があります。継続率と筋力を併せて示すことで、練習への参加と最後の成績を両側から評価できます。
自主練習の群にも計画が渡されていた点は、比較を理解するうえで大切です。何もせず過ごした人と運動した人の比較ではなく、運動に取り組む人どうしで支援を変えた試験だからです。「指導つきで伸びた」という紹介を見たら、比較相手にも練習計画があったことまで含めて受け止めます。
パーソナルトレーニングの効果は重さの上げ方にも表れる
Mazzetti(2000)は、米国のある程度鍛えている若い男性を、直接指導を受ける群と自主練習の群に分けました。同じ計画で重い負荷の筋トレを行ったところ、指導つきでは扱う重さがより速く上がり、スクワットとベンチプレスの最大挙上重量の伸びも大きくなりました。最大挙上重量は、その種目で挙げられる最も重い重量のことです。自主練習でも筋力は伸びており、この試験が示すのは指導による伸びの上積みです。
同じ計画を配っても、実際の練習で扱う重さまで同じになるとは限りません。この研究では、計画から日々の練習へ移る部分に差がありました。トレーナーが付く価値を考える際には、単に誰かが隣にいるという説明より、負荷をどう判断して調整するかという内容に注目できます。
Coleman(2023)は、米国の筋トレ経験のある若い男女36 人に、同じ8 週の計画を指導つきか自主練習で行ってもらいました。指導つきでは、上腕三頭筋や大腿の筋の厚み、スクワットの最大挙上重量がより大きく増えました。一方、ベンチプレスと膝を伸ばす筋力は同程度で、垂直跳びは自主練習がわずかに有利でした。筋肉の厚み、重りを挙げる力、跳ぶ能力をまとめて「成果」と呼ぶと、こうした違いが見えにくくなります。
Gavanda(2025)でも、スクワットの伸びは対面指導がアプリと計画書の群を上回りましたが、ベンチプレスでは群の間の差がはっきりしませんでした。Mazzetti(2000)でベンチプレスにも差があったことと並べると、指導による上積みがすべての試験で同じ形になるわけではないとわかります。目的がスクワットの重量なのか、上半身の筋力なのかによって、注目する結果を変える必要があります。
高齢者では、自主練習に含まれる指導も結果を左右する
Lacroix(2017)は、持病のない高齢者を対象にした11 本の試験を、メタ分析という複数の研究をまとめて計算し直す方法で検討しました。比べたのは、指導者が付くバランス練習や筋トレと、指導者が付かない同じ内容の運動です。全体として、指導つきのほうがバランスや筋力・パワーの伸びが大きい結果でした。パワーは力を発揮する速さも含む能力で、重い物を挙げる力だけを見る筋力とは測る面が違います。
この分析で注目したいのは、自主練習の群にどれだけ指導が含まれていたかです。完全な自主練習との比較では差が目立ち、自主練習の側にも途中で指導が入る試験では差が小さくなっていました。「指導なし」という呼び方の下に、最初から最後まで自分で進める場合と、助言を受けながら自分で練習する場合が混ざっています。
たとえば自主練習を中心にしたい人は、助言を受ける場面が計画の中にあるかに目を向けられます。研究の比較相手が完全な自主練習だったのか、部分的に指導を受ける練習だったのかによって、広告で紹介された差の意味も変わります。対面か自主練習かという名前だけを並べるより、本人が判断する部分と指導者が関わる部分を見たほうが、試験の条件に近づきます。
Lacroix(2017)では、集められた試験が少なく、質の評価も中程度でした。指導をどれだけ増やすとどれだけ伸びるかという関係は明確になっていません。したがって、結果から選び取るのは「指導は多いほどよい」という量の基準ではなく、完全に一人で進める場合との違いと、部分的な指導にも目を向ける視点です。
差が出なかった指標と、手術後の患者の試験
Mikkelsen(2014)が調べたのは、人工股関節の手術を受ける73 人で、手術前から機能に制限がある患者でした。指導つきの筋トレに自宅運動を加える群と、自宅運動を行う群を比べ、10 週後の脚を伸ばすパワーを主な指標として測りました。どちらの群も開始時より改善しましたが、この主な指標で群の間の差はありませんでした。自宅運動も専門家が組んだ内容で、自己流の運動を比較相手にした試験とは条件が違います。
同じ試験で、最大歩行速度と階段を上る能力は指導つきの群が上回りました。主な指標と、ほかに測った指標を分けて読むと、指導の追加が脚の伸展パワーに上積みを示さず、一部の動作ではよい結果があったと整理できます。この研究を「指導が不要だった」と短縮すると、歩行や階段の結果が抜け落ちます。
研究ごとの違いを、対象と測定項目で並べると次のようになります。期間は、Coleman(2023)の8 週、Mikkelsen(2014)の10 週のように、結果を見た時点と組にして読む項目です。
| 研究(著者 年) | 対象と人数 | 期間 | 比べた指導の形 | 上回った指標 | 差がなかった指標 |
|---|---|---|---|---|---|
| Mazzetti(2000) | ある程度鍛えた若い男性、指導群10 人・自主群8 人 | 短期の計画 | 直接指導と自主練習 | 指導群のスクワット・ベンチプレス | この比較で挙げた種目は指導群が上回る |
| Coleman(2023) | 経験のある若い男女36 人 | 8 週 | 直接指導と同じ計画の自主練習 | 指導群の筋の厚み・スクワット、自主群の垂直跳びはわずかに有利 | ベンチプレス・膝の伸展筋力 |
| Gavanda(2025) | 鍛えている男女 | 短期の計画 | 対面・アプリ・計画書 | 対面群のスクワット、継続率も高い | ベンチプレスの群間差は不明瞭 |
| Lacroix(2017) | 持病のない高齢者の11 試験 | 試験ごとに異なる | 指導つきと自主練習 | 指導群のバランス・筋力・パワー | 自主群にも指導が入る比較では差が小さい |
| Mikkelsen(2014) | 人工股関節の手術を受ける73 人 | 10 週 | 指導と自宅運動、自宅運動のみ | 指導群の最大歩行速度・階段の上り | 主な指標の脚の伸展パワー |