公開日: 更新日: 著者: 運営者情報
「ゼロカロリー」の飲み物で体重は減るのか|人工甘味料の表示と試験
「砂糖入り飲料の代わりに低・無カロリーの甘い飲料を使うと、体重に小さな改善が見られた」と、McGlynn(2022)は研究をまとめています。目を留めたいのは、甘さやカロリーだけでなく「代わりに」という条件です。砂糖入りの飲み物から替えるなら体重が少し減る助けになりえますが、水から替えることで減量が進むという根拠は弱いままです。
コンビニの飲料棚には、似た色のラベルでも砂糖入りの飲料と「ゼロカロリー」の表示の飲料が並んでいます。体重を気にして手を伸ばしたとき、替えればやせるのか、反対に太りやすくなるのかという疑問が浮かびます。いつもの甘い飲み物を替える人と、ふだん水を飲む人とでは、同じ商品を選んでも変える内容が違います。
飲んだ人の体重が減った研究にも、食事や運動の指導を一緒に受けたものがあります。一方、甘味料を使う人に体重増加が多かった調査では、体重を気にしたことが飲み物を選ぶきっかけだった可能性が残ります。表示から受ける印象を確かめるには、飲み物の名前と結果の間にある、比較相手と参加者の暮らしまで読む必要があります。
砂糖入りから替える場合と、水から替える場合
人工甘味料を含む低・無カロリーの飲料は、砂糖以外の甘味料で甘さを付けた飲み物です。研究では、砂糖入り飲料をこれらに置き換える場合と、水の代わりに飲む場合を区別しています。「ゼロカロリー」という表示を見ると体重が減る働きまで期待しがちですが、試験で調べるのは、何を飲んでいた人が何に替えたときに体重がどう動くかです。
砂糖入りから替えるなら、減量の選択肢になります。McGlynn(2022)では、砂糖入り飲料を低・無カロリー飲料に替えた群の体重が、砂糖入り飲料の群より少なくなる結果でした。ふだんの飲み物から入るエネルギーを減らすという使い方に、研究の結果が対応しています。食事に甘味料飲料を追加することまで同じ扱いにせず、置き換える対象を決めて読むのが筋道です。
水から替える場合は、出発点に砂糖入り飲料がありません。McGlynn(2022)のまとめでは、水と甘味料飲料の間に体重の差は見られず、この比較の確かさも低いと評価されました。今の水を甘い飲料に替える理由を「もっとやせるため」とするには、効果を支える材料が乏しい状態です。
買う前には、新しく飲みたい物よりも、いま飲んでいる物を先に思い出すと判断しやすくなります。食事と一緒の砂糖入り飲料を替えるのか、水を替えるのか、飲み物を追加するのかを区別します。この区別がつくと、「飲んだら体重が減った」という広告に接したときも、自分の変更と研究の変更が重なっているかを見つけやすくなります。
砂糖入り飲料との体重差は小さい
McGlynn(2022)は、無作為化比較試験、つまり参加者をくじ引きのように分けて条件を比べる試験をまとめました。対象は 17 本、成人 1733 人で、過体重または肥満があり、糖尿病かその危険がある人たちです。複数の研究をまとめて計算するメタ分析によって、飲料を替える方法ごとの体重や健康指標を検討しています。
砂糖入り飲料から低・無カロリー飲料へ替えた場合、体重の平均差は -1.06 kg、95% 信頼区間は -1.71〜-0.41 kg でした(McGlynn(2022))。マイナスは置き換えた群の体重が比較相手より少なかったことを表し、信頼区間は平均差の推定に伴う不確かさの幅を示します。全員がこの幅だけ減るという予測ではなく、研究をまとめた群どうしの差として読む数字です。
この結果を「飲むだけで大きくやせる」と受け取ると、著者が示した小さな改善という評価から離れてしまいます。広告で体重の減少だけが大きく載っている場合は、その数値が飲み物を替えた群の変化なのか、比較した群との差なのかも見る必要があります。開始前より減った量と、別の飲み方に対して上乗せされた差では、飲料の役割について答えている内容が変わります。
また、McGlynn(2022)の参加者は女性が 77.4% を占め、期間も中期までが中心でした。体重が標準的な人、男性、長く飲み続ける人へ結果を広げる際には、この対象と期間の偏りが残ります。体重への小さな助けを選ぶ材料として使い、あらゆる人に同じ減少量を期待する宣伝とは距離を取る読み方が適切です。
水より減った試験では、減量指導も受けていた
Peters(2016)は、体重が安定した過体重・肥満の成人 303 人を対象に、飲み物を水にする群と人工甘味料入り飲料にする群を比べました。全員が減量プログラムに参加し、食事と運動の指導を受けたうえで、毎日 710 ml を割り当てられた飲み物でとる方法です。飲料だけを日常生活に加えた試験とは、取り組みの内容が違います。
Peters(2016)で 1 年後に保たれていた体重減少は、水の群で 2.45 ± 5.59 kg、甘味料飲料の群で 6.21 ± 7.65 kg でした。平均では甘味料飲料の群が有利でしたが、平均の横に示された値からも、参加者の結果に大きなばらつきがあったことが読み取れます。減量の量をそのまま飲料だけの効果として取り出すと、両群が受けた指導を落としてしまいます。
参加者がもともと甘味料飲料をよく飲んでいたことも、この試験を読むうえで欠かせません。甘味料飲料を飲み続けながら減量に取り組む群と、慣れた飲料を水に替えて取り組む群との比較です。水を好んで飲んでいる人が新しく甘味料飲料を選ぶ状況より、甘味料飲料の習慣を持つ人が減量指導を受ける状況に近い研究として読めます。
Rogers(2016)の系統的レビュー、つまり一定の条件で研究を集めて評価した論文でも、水と比べて体重が少なくなる結果がありました。水との比較は 3 件で、平均差は -1.24 kg、95% 信頼区間は -2.22〜-0.26 kg です。著者も水に対する利点には慎重で、比較の少なさが結論の強さを制限しています。McGlynn(2022)の水との比較では差がなかったことと合わせると、水より減量に有利という結果は研究を通じて安定していません。
人工甘味料で太るという話は追跡研究から来ている
Azad(2017)は、飲む条件を割り当てる試験と、ふだんの習慣を持つ人たちを追いかける追跡研究を分けてまとめました。試験では、体格の指標である BMI に明確な改善がなく、追跡研究では甘味料の摂取と BMI や体重の増加が関連していました。BMI は身長に対して体重がどの程度あるかを表す値で、脂肪だけの量を直接測った値ではありません。
追跡研究で考えたいのは、飲み始める前の経緯です。体重が増えてきたため砂糖入り飲料を控え、甘味料入りを選ぶ人がいれば、甘味料を使う群には初めから体重を気にしている人が集まります。後から見つかった「甘味料を使う人ほど体重が多い」という関係には、体重の問題が飲料の選択を先に動かした経緯が混ざります。これを逆の因果といい、Azad(2017)が挙げた解釈上の問題です。
さらに、飲み物以外の食事や生活の違いが、飲料の選び方と体重の両方に関わる場合があります。こうした別の要因の影響を交絡と呼びます。試験では条件を割り当てて比較の出発点を近づけますが、追跡研究では自分で飲み物を選んだ人たちを比べるため、この問題への対応が必要になります。
Azad(2017)の結果は、試験が減量の利益を明確に支持していないことと、日常的な摂取に体重や健康上の危険との関連が見られたことの両方を含みます。関連を見落とさず、それが甘味料の作用によるものか、飲む人の背景によるものかを分けて検討する読み方が必要です。追跡研究だけから「人工甘味料が人を太らせる」とまでは言えません。
効果が見えた項目と、根拠の確かさを並べる
Toews(2019)は、甘味料を使う群と使わない、または少なく使う群を比べた試験や観察研究をまとめました。健康な人や過体重の人が対象で、多くの健康指標にははっきりした差が見られませんでした。成人の BMI にはわずかに有利な結果がありましたが、根拠の確かさは低いか非常に低いと評価されています。
Toews(2019)では、減量中の人に絞った結果でも効果が見られませんでした。個々の項目を調べた研究は少人数で期間が短く、方法と報告の質にも制約がありました。効果がある方向に平均値が動いたことに加えて、その結果をどのくらい信頼できるかという評価まで読むと、広告に載る小さな差の扱い方が変わります。
同じ甘味料の話でも、研究の設計と比較相手を並べると、結果の違いをたどれます。下表では体重に関係する主な結果に絞り、数字の大小と一緒に、判断を左右する条件を記しています。
| 研究(著者 年) | 研究の形 | 比べた相手 | 体重の結果 | 確かさ |
|---|---|---|---|---|
| McGlynn(2022) | 無作為化試験のメタ分析 | 砂糖入り飲料、水 | 砂糖入り飲料に対して平均差 -1.06 kg、水には差なし | 水との比較は低い。対象は過体重・肥満が中心 |
| Peters(2016) | 無作為化試験 | 減量指導を受けながら飲む水 | 甘味料飲料の群で減量を大きく維持 | 甘味料飲料の習慣がある参加者に限る |
| Rogers(2016) | 系統的レビューとメタ分析 | 砂糖、水 | ヒトの試験では両方に対して体重が少ない方向 | 水との比較は少数 |
| Azad(2017) | 試験と追跡研究のレビュー | 試験の対照、摂取習慣の違い | 試験では BMI に明確な改善なし、追跡研究では増加と関連 | 追跡研究では逆の因果や交絡が残る |
| Toews(2019) | 試験と観察研究のレビュー | 甘味料を使わない、または少なく使う群 | 成人の BMI に小さな改善、減量中の人では効果なし | 成人の BMI の根拠は低いか非常に低い |
表示より先に、置き換える飲み物を決める
砂糖入りの飲料を日常的に飲んでいるなら、まずそれを水か低・無カロリーの飲料へ替えることを考えます。McGlynn(2022)が示した小さな体重の改善は、こうした置き換えに対応した結果です。甘い味を残して替えたいのか、水で続けられるのかという好みも含めて、飲料の選択を生活の中に置くと無理を増やしにくくなります。
すでに水を飲んでいる人は、減量のために甘味料飲料へ替える必要性は低いでしょう。Peters(2016)の好ましい結果を参考にするときも、参加者のもとの習慣と、食事・運動の指導があったことをセットで受け止めます。飲み物を選び直すだけで、減量への取り組み全体を済ませたことにしないのが大切です。
害については、McGlynn(2022)のまとめで、調べた体重や心臓・血管に関わる健康指標に悪化の証拠は見られませんでした。一方、Azad(2017)の追跡研究では BMI や糖尿病などの危険の増加との関連が報告されています。短期から中期の置き換え試験の結果と、長い生活習慣に伴う関連とでは、健康について見ている範囲が異なります。体重の数字に加え、害の評価にも研究の期間と方法を添えて読む必要があります。
糖尿病で治療中の人は、飲み物の置き換えも含めて主治医の食事の指示に合わせます。持病の管理に使う食事の変更を、ラベルの印象だけで決めないためです。買い物では、いま飲んでいる物、替えた後も続けられる味、減量指導の有無を手掛かりに、水と低・無カロリーの飲料を選び分けます。
よくある質問
砂糖入りを替えたら、研究と同じだけ体重が減るのか
McGlynn(2022)の平均差は、複数の試験をまとめた群どうしの比較で、個人の減少量の約束ではありません。参加者は過体重・肥満で糖尿病かその危険がある成人が中心で、もともとの飲み方や生活にも違いがあります。体重への期待は小さな補助として置き、自分が砂糖入り飲料を実際に置き換えられているかを先に見ます。
水より甘味料飲料を選ぶほうがよいのか
水より減量を大きく維持できた Peters(2016)は、甘味料飲料をよく飲む人が減量プログラムに参加した試験でした。McGlynn(2022)では水に対する体重の優位性は見られず、水を飲む習慣がある人に変更を勧める理由は弱い状態です。好みに合う飲み物を選ぶ際も、水に替えて困っていない人と、甘い味を残して砂糖入り飲料を減らしたい人を区別すると判断しやすくなります。
飲む人ほど体重が多いという調査は無視してよいのか
無視せず、飲む前から体重が多かった可能性も含めて読みます。Azad(2017)のような追跡研究では、甘味料を選んだ理由や他の生活習慣が結果に関わるため、摂取と体重増加の関連から原因を決めるまでには検討が必要です。試験ではどの飲料から替えたかを、追跡研究ではどのような人が飲み始めたかを読むと、結果の食い違いを整理できます。
この記事の限界
適用範囲は、過体重・肥満の成人が飲料を置き換える試験や、甘味料の摂取習慣を調べた研究が中心で、飲料の表示から体重への効果を読むための解説にとどまります。個人の治療や食事量を決める助言を目的とせず、女性が多い試験、甘味料飲料に慣れた人が減量指導を受けた試験という対象の偏りを含んでいます。
水との比較は結果がそろわず、短い試験や質の低い研究が含まれるため、体重への上乗せ効果の評価には不確かさが残ります。特に、日常生活で長く続けたときの利益と害や、飲み始める前の体重・生活習慣による違いまで判断できる根拠は不足しています。
参考文献
- McGlynn ND. Association of Low- and No-Calorie Sweetened Beverages as a Replacement for Sugar-Sweetened Beverages With Body Weight and Cardiometabolic Risk: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Netw Open 2022;5(3):e222092.
- Peters JC. The effects of water and non-nutritive sweetened beverages on weight loss and weight maintenance: A randomized clinical trial. Obesity (Silver Spring) 2016;24(2):297-304.
- Rogers PJ. Does low-energy sweetener consumption affect energy intake and body weight? A systematic review, including meta-analyses, of the evidence from human and animal studies. Int J Obes (Lond) 2016;40(3):381-394.
- Azad MB. Nonnutritive sweeteners and cardiometabolic health: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials and prospective cohort studies. CMAJ 2017;189(28):E929-E939.
- Toews I. Association between intake of non-sugar sweeteners and health outcomes: systematic review and meta-analyses of randomised and non-randomised controlled trials and observational studies. BMJ 2019;364:k4718.
広告を疑う目を持ったまま、溶岩の床に立ってみる
- 向く人: 効果の話を研究の規模と比較の条件で割り引いて聞ける人
- 向く人: 暑い部屋で体を動かす時間そのものを習慣にしたい人
- 向かない人: 汗の量や翌朝の体重の減り方で効果を判定したい人
- 向かない人: 腎臓や心臓の持病で、暑い環境での運動を医師に止められている人
このサイトはオンザショア立川店の運営者が制作しています。立川駅から徒歩1分、溶岩プレートの床で行うホットヨガのスタジオです。
よくある質問
砂糖入りを替えたら、研究と同じだけ体重が減るのか
McGlynn(2022)の平均差は、複数の試験をまとめた群どうしの比較で、個人の減少量の約束ではありません。参加者は過体重・肥満で糖尿病かその危険がある成人が中心で、もともとの飲み方や生活にも違いがあります。体重への期待は小さな補助として置き、自分が砂糖入り飲料を実際に置き換えられているかを先に見ます。
水より甘味料飲料を選ぶほうがよいのか
水より減量を大きく維持できた Peters(2016)は、甘味料飲料をよく飲む人が減量プログラムに参加した試験でした。McGlynn(2022)では水に対する体重の優位性は見られず、水を飲む習慣がある人に変更を勧める理由は弱い状態です。好みに合う飲み物を選ぶ際も、水に替えて困っていない人と、甘い味を残して砂糖入り飲料を減らしたい人を区別すると判断しやすくなります。
飲む人ほど体重が多いという調査は無視してよいのか
無視せず、飲む前から体重が多かった可能性も含めて読みます。Azad(2017)のような追跡研究では、甘味料を選んだ理由や他の生活習慣が結果に関わるため、摂取と体重増加の関連から原因を決めるまでには検討が必要です。試験ではどの飲料から替えたかを、追跡研究ではどのような人が飲み始めたかを読むと、結果の食い違いを整理できます。