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卵は1日1個までなのかQ&A|コレステロールの数字と追跡研究

相対リスク0.98という追跡研究の結果と、卵を増やすとLDLが上がった試験を読み分けます。糖尿病の人の部分解析や食事調査の弱さも踏まえ、全員共通の摂取上限は決められないとわかります。

卵は1日1個までなのかQ&A|コレステロールの数字と追跡研究

0.98。Drouin-Chartier(2020)が追跡研究をまとめた、卵の摂取量と心血管病の相対リスクです。自宅のリビングで健康情報を読んでいて、よく言われる「卵は 1 日 1 個まで」を超えると心臓に悪いのか、気になった人もいるはずです。一般の人では、その程度の摂取と心血管病の明確な関連は見られませんが、全員共通の上限を決めた研究ではありません。

広告で「コレステロールの心配なし」と聞くと、検査の値まで変わらないように感じます。食べる量の判断には、病気の発症を追った調査と、血液を調べた試験を分けて読むことが役立ちます。

卵は 1日 何個までなら心血管病との関連が見られなかったのか

Drouin-Chartier(2020)は、同じ人たちの健康を長く追う追跡研究と、複数の結果をまとめて計算するメタ分析を報告しました。結論は、一般の人で 1 日 1 個までの卵の摂取と、心臓や血管の病気である心血管病との関連は見られない、というものです。米国の医療職を対象とした調査でも、多く食べる群で発症が明確に増える結果にはなりませんでした。

Drouin-Chartier(2020)の統合結果では、1 日に卵が 1 個多い場合の相対リスクは 0.98 です。相対リスクは、比べる相手に対して病気の起こりやすさがどれほど違うかを表します。推定の幅を示す 95% 信頼区間は 0.93〜1.03 で、差がない値も含むため、減少したという結論にもなりません。

心血管病が増えたという研究はどう読むのか

Zhong(2019)は米国の成人を追跡し、1 日に卵を半個多く食べることと、心血管病の起こりやすさを表すハザード比 1.06、死亡のハザード比 1.08 との関連を報告しました。ハザード比は、追跡中の出来事の起こりやすさを群の間で比べた値です。ただし、食事由来のコレステロール量の違いを統計的に考慮すると、卵そのものとの関連は消えました。

ここで比べているのは、同じ人が卵を増やす前と後ではなく、もともと食べる量が違う人どうしです。卵をよく食べる人は、それ以外の食事や生活も違います。こうした違いを計算でそろえる「調整」の仕方で、卵との関連の見え方が変わります。

Zhong(2019)の食事調査は開始時の聞き取りで、その後の食生活の変化は追っていません。日々の食事を記録し続けた結果として受け取ると、研究の精度を高く見積もることになります。見出しの「増えた」「増えなかった」を比べる際は、測り方と調整した項目まで読みます。

糖尿病の人にも同じ結果が当てはまるのか

糖尿病の人に絞ると、卵を多く食べる群で病気が多かったという結果があります。Rong(2013)とShin(2013)の報告を、一般の人の結果に埋もれさせずに見る必要があります。

研究 対象と比較 結果
Rong(2013) 糖尿病の人で卵の摂取が最も多い群と最も少ない群 冠動脈疾患の相対リスク 1.54、95% 信頼区間 1.14〜2.09
Shin(2013) 糖尿病の人を対象とした研究の統合 心血管病のハザード比 1.69、95% 信頼区間 1.09〜2.62

血液のコレステロールは増えないのか

Li(2020)は、健康な人を卵が多い食事と少ない食事にくじ引きで分ける無作為化比較試験を、17 本まとめました。多く食べた群では、いわゆる悪玉と呼ばれるLDLコレステロールが高くなりました。心血管病との関連が目立たないという追跡研究と、血液の値が上がるという試験の結果は、測ったものが違うため両立します。

この試験のまとめが扱ったのは短期の血液の変化で、心臓病や死亡の発生そのものは測っていません。したがって、検査値が上がった分だけ将来の発症が増える、という読み方はできません。卵を増やす判断では、食品への一般的な評価だけでなく、自分の検査結果も材料にします。

健康診断でLDLコレステロールの再検査を勧められた人は、卵の量を自分で決める前に医師に相談してください。相談時に食生活を伝えられるよう、卵を食べる頻度や一緒に食べた物のメモを残します。

よくある質問

毎日の卵をやめる必要があるのか

Drouin-Chartier(2020)の結果は、一般の人が卵を食べる習慣を一律にやめる理由にはなりません。現在の食事量と検査結果、受けている食事指導を合わせて判断します。

糖尿病の人は必ず卵を避けるべきか

Rong(2013)とShin(2013)の糖尿病の人の結果は、少数の研究を抜き出した部分解析で、食事全体の違いも影響しえます。全員に禁止する結論へ進めるより、治療中の食事方針に沿って量を検討する材料になります。

卵を増やせば心臓病を予防できるのか

Drouin-Chartier(2020)で明確な関連がなかったことは、卵を増やす予防効果を示していません。病気の予防を期待して量を増やす根拠として読むのは飛躍です。

この記事の限界

測定は、食事の自己申告による長期の追跡と、血液の値を測る短期の試験にわかれています。摂取量の記憶違いや食生活の変化が結果に影響し、検査値と病気の発症を同じ条件で結びつけた根拠は限られます。

これは研究の読み方を整理したもので、個人の食事量を処方する医療上の助言には代えられません。糖尿病の人での関連や、多量の卵を長く食べた場合の影響を確定できるほど、研究はそろっていません。

参考文献

  1. Drouin-Chartier JP. Egg consumption and risk of cardiovascular disease: three large prospective US cohort studies, systematic review, and updated meta-analysis. BMJ 2020;368:m513.
  2. Zhong VW. Associations of Dietary Cholesterol or Egg Consumption With Incident Cardiovascular Disease and Mortality. JAMA 2019;321(11):1081-1095.
  3. Rong Y. Egg consumption and risk of coronary heart disease and stroke: dose-response meta-analysis of prospective cohort studies. BMJ 2013;346:e8539.
  4. Shin JY. Egg consumption in relation to risk of cardiovascular disease and diabetes: a systematic review and meta-analysis. Am J Clin Nutr 2013;98(1):146-159.
  5. Li MY. Association between Egg Consumption and Cholesterol Concentration: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Nutrients 2020;12(7):E1995.

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よくある質問

毎日の卵をやめる必要があるのか

Drouin-Chartier(2020)の結果は、一般の人が卵を食べる習慣を一律にやめる理由にはなりません。現在の食事量と検査結果、受けている食事指導を合わせて判断します。

糖尿病の人は必ず卵を避けるべきか

Rong(2013)とShin(2013)の糖尿病の人の結果は、少数の研究を抜き出した部分解析で、食事全体の違いも影響しえます。全員に禁止する結論へ進めるより、治療中の食事方針に沿って量を検討する材料になります。

卵を増やせば心臓病を予防できるのか

Drouin-Chartier(2020)で明確な関連がなかったことは、卵を増やす予防効果を示していません。病気の予防を期待して量を増やす根拠として読むのは飛躍です。

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