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表示の事例
縦軸の省略という用語は、グラフで表示する値の範囲を途中から始める描き方を指します。軸と数値を確認し、棒の長さ同士の比が元の測定値同士の比と違うことを確かめます。軸の省略には表示目的もあるため、省略があるだけで違法とは断定しません。
該当する規定と確かめ方
軸の原点、目盛、単位、切断線、時点、対象人数、集約方法を先に読みます。比較の印象と数値の対応を調べ、サービスの効果を実際より著しく優良と示す場合は景品表示法第5条第1号の観点が関係します。効果表示の根拠には不実証広告規制の考え方も確認します。
読み違えやすい点
ゼロ始まりであれば全て正確というわけではありません。尺度の定義、対象の選択、期間、ばらつき、対照群が欠けていれば、正しい軸でも効果の判断に必要な情報は足りません。
判断が変わる六つの場面
棒の基点
仮想例:軸80で値82と86の棒を並べる。棒の長さは2と6でも元の値が三倍になったわけではない。原点と軸の切断表示を確かめます。
相対差の計算
仮想例:82から86への増加を大幅な向上と呼ぶ。仮想例の相対増加は4÷82で約4.9%になる。何を分母にした増加率かを確かめます。
平均と分布
仮想例:平均の線だけで全員の成果を表す。平均の増加と個人の変化の分布は異なる。人数、個別値、ばらつきを確かめます。
時点の間隔
仮想例:等間隔の横軸に一週と半年を並べる。線の傾きに実際の時間経過が対応していない。測定日と横軸の尺度を確かめます。
測定対象の変更
仮想例:前は全員、後は完了者だけで平均する。集団の入替りが変化へ混ざる。両時点の分母と対象条件を確かめます。
比較の公正さ
仮想例:自社と他社で別の尺度を並べる。条件が違う値から同じ基準の優位性は示せない。同じ尺度と測定方法を確かめます。
基本の計算と適用条件
棒グラフの値が82と86、縦軸の基点が80という架空例です。見える棒の長さは2と6なので三倍に見えても、値の比は86/82で約1.049です。増加量は4点、開始値に対する相対増加は約4.9%です。目盛から値を読み直し、長さの比と量の比を別々に計算すると、軸の選択が印象へ与える影響を具体的に確認できます。
折れ線図で変化の細部を示す目的なら、ゼロを省略する表示にも用途があります。原点のない尺度や比の対数軸などでは、ゼロを始点にする一律の規則が合わない場合があります。図の形式、尺度、切断の表示、主張の文を併せて読みます。省略という一要素から法的な結論を出すのではなく、表示全体が何を理解させるかを確認します。
平均82と86が同じ人の前後か、別集団か、前は全員で後は完了者かを調べます。図に人数や区間がないなら元の調査を尋ね、結果の表と対応させます。図の軸を正しくしても、対象選択や対照群の欠落は解消しません。色や矢印で大きく見せる説明と、実際に測定した差の定義を分けることが必要です。
事業者間の比較なら、同じ時点、尺度、対象条件で値を求めたかを確認します。消費者庁の比較広告の説明は、比較自体の禁止という意味ではなく、客観的な実証、正確な引用、公正な方法を読む手掛かりになります。根拠を確認する前に視覚的な大きさで順位を決めず、比較条件と主張が対応するかを先に照合します。
この考え方で読める広告
棒グラフが三倍伸びたという美容広告
仮想例:縦軸を80で切り、測定値82と86を棒で示したとします。見えている棒の長さは2と6で三倍ですが、測定値の比は86/82で約1.049です。絶対増加4、相対増加約4.9%と図の見た目を分けると、軸の省略が作る印象を数値へ戻せます。
棒は長さが数量を表すため基点の役割が大きく、折れ線や散布図では変化の細部を見るために範囲を狭める用途もあります。省略自体の有無だけでなく、軸名、単位、切断の表示、元データが読めるかを確認します。横軸で一週間と半年を等間隔に置けば、線の傾きは時間の速度と対応しません。
広告の図から読み取った前後値を、元の表の単位と照合します。図だけの掲載なら、基点と省略記号を含む全体図を求めます。棒グラフと折れ線では軸の役割が異なるため、図の目的と示したい比較が何かを説明してもらうことも判断材料になります。
数値で確かめる
棒の長さは元値から基点80を引いた値です。元値の比は後/前で計算します。いずれも仮想値で、図の印象を生理的な変化の大きさへ読み替えないための比較です。
| 前の値 | 後の値 | 基点 | 棒の長さの比 | 元値の比 |
|---|---|---|---|---|
| 82 | 84 | 80 | 2.0 | 1.024 |
| 82 | 86 | 80 | 3.0 | 1.049 |
| 82 | 88 | 80 | 4.0 | 1.073 |
| 82 | 90 | 80 | 5.0 | 1.098 |
混同しやすい判断を分ける
フォレストプロット
効果の位置、区間、軸の種類を読む方法は異なる図でも役立つ。図の形式の名前だけで根拠の質を決めない。 フォレストプロットの解説。
リスク差
増加や減少を百分率とポイントへ区別すると、切られた軸の印象を元の値へ戻せる。 リスク差の解説。
変動係数
平均と分布のばらつきは別の情報で、軸の幅だけから散らばりを判断しない。 変動係数の解説。
出典
よくある質問
縦軸の省略とは何ですか
グラフの縦方向の表示範囲を、ゼロ以外の途中の値から始める描き方です。棒の長さを見て受ける印象が、元の数値の倍率と異なる場合があります。
縦軸が0からでなければ不正なグラフですか
図の種類と目的によります。省略の表示、元の値、単位、棒の長さが作る印象を照合します。
82から86は三倍ですか
値は約1.049倍で、増加率は約4.9%です。80を基点にした棒の長さの三倍とは異なります。